fascia(ファシア)に注目する理由

fascia(ファシア)…

初めて聞く言葉ではないでしょうか?

ラテン語で束、包み、かたまり、集団、群などの意味を持ち、世界の医療分野の分野で今注目されている組織です。

私も2015年頃から現在まで非常に力を入れて学んできた分野です。書籍やセミナーやツールに100万円以上つぎ込んで学んできました。

どのようなものか?

なぜ注目されているのか?

痛みやパフォーマンスにどう関わっているのか?

順を追って説明致します。

目次

fasciaとは?

海外では connective tissue と説明されています。

・connect=結びつける

・tissue =組織

日本語では「結合組織」と訳されます。

fasciaとは、臓器・靭帯・神経・血管などあらゆる組織の間に存在しています。

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※北里大学医療衛生学部リハビリテーション学科 理学療法学専攻教授、北里大学大学院医療系研究科(感覚・運動統御医科学群機能回復学および臨床医科学群整形外科学)教授である高平尚伸 教授より人工股関節の手術中の画像を頂いております。高平先生は股関節手術の名医であり、低侵襲手術MIS(Minimally Invasive Surgery) という最も傷口が小さくそして筋や腱を傷つけない手術のできる素晴らしい先生です。Physiofitのお客様の数名の方がお世話になっております。私も数回手術の見学をさせて頂きました。

画像の皮膚の下に白く見える繊維状の組織がfasciaです。

様々なコラーゲンから成り立ち、水分含有率も約70~85%と非常に多く通常は柔軟性に富む繊維性結合組織です。

fasciaがなぜ注目されているのか?

1809年、博物学者のジャン-バブチスト・ラマルクが「この結合組織の生物としての重要性」と示唆し、1839年に「結合組織 connective tissue」という言葉が、正式に解剖学用語ついて採用されました。

その後100年を経た1920年、解剖学者・人類学者である英国のフレデリック・ウッド・ジョーンズが「人体解剖や臨床におけるファシアの重要性」を説きましたが、表舞台には上がりませんでした。

このように重要性は少しずつ提唱されていたものの注目されるまでは「余分な組織」としてあまり重要な治療対象にされていませんでした。

さらに約100年後の時を経た2020年の現在、ファシアはようやく新しい治療対象として再認識始められました。

2009年1月にアナトミートレインという書籍が発売されました。世界各国において統合的ボディワークを実践しているトーマス・W.・マイヤース氏による,体中に張り巡らされた筋・筋膜の網を通して,姿勢や動作の安定がどのように得られるかを解明する解剖学的見解から編み出された新理論として、fasciaの治療の重要性を広く世界に知らしめました。

その後2011年に、海外でドクターがエコーガイド下で生理的食塩水をfasciaに注射をして一定の疼痛改善効果を報告したことから、2012年から日本の整形外科医の間にもfasciaに生理的食塩水を注入してfasciaの動きを改善する方法が普及して、様々な医学論文が発表されるようになりました。

治療の分野でも古くはオステオパシー療法/ロルフィングというテクニックでfasciaに対する治療技術がありましたが、イタリアの PT の Luigi. Stecco 氏が筋膜マニピュレーション(fascial manipulation®)という技術を開発したことによりより多くの治療家に普及されました。

日本でも竹井仁先生(元首都大学東京大学院人間健康科学研究科理学療法科学域・健康福祉学部理学療法学科教授)に大きな貢献によりfasciaに対する徒手療法が普及され、私たちがその恩恵を受けております。

今までの治療家の治療対象は、骨や筋肉がメインでした。しかし、fasciaのへの治療技術の発展により血管、神経、内臓そして今まで不定愁訴と言われていた原因不明の症状がfascia介して説明することにより、原因追求が可能になり治療も簡便になったことがfasciaが注目されている理由かと思います。

痛みやパフォーマンスにどう関わっているのか?

コラーゲンそして神経のネットワークがfasciaに存在します。

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組織が伸びたり、圧迫されたり、捻れたりするのをfasciaが敏感に感知しています。

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fasciaは膜状であることが多く、あらゆる場所で3~4層構造で存在しています。

そのため関節が動いたり、動いたりすると以下のようにfascia層が滑走します。

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関節がよく動く、力が出しやすい、動作が滑らかな場合はこのfascia層がスムーズに滑走しています。

しかし、このfasciaの層は怪我や病気をすると破壊されたり、代謝が悪くなり水分不足になったりします。破壊されたり水分不足になると”層同士が結合してしまう、滑走が悪くなる”といった異常状態になります。この異常状態になると、様々な異変が身体に起こります。

前述でお伝えしたように、神経のネットワークがあるので、様々な神経の不調が起こります。その代表的な不調が”痛み”です。異常状態になると、圧の感知が異常になり圧を感じやすくなります。圧のセンサーはある一定の圧力を超えると痛みを感じます。なので、fasciaが異常になると痛みを感じやすくなってしまいます。

またあらゆる組織はこのfasciaによって栄養の交換を行なっています。栄養の貯蔵庫でもあり、老廃物のゴミ捨て場でもあるのです。fasciaが異常状態になると栄養の供給力が低下してしまうのでその周辺の組織の栄養が行き渡らずに、組織の代謝が低下します。組織とは皮膚や血管や筋肉、内属系でありfasciaの異常によりそれらの機能が低下します。

血管・・・血流低下

筋肉・・・柔軟性低下、筋力低下

神経・・・痛み、しびれ、異常知覚、筋力低下、自律神経異常

腎臓・・・毒素排出力低下

膀胱・・・尿の排出力低下

膵臓・・・インスリン、グルカゴンの調整機能低下

肝臓・・・栄養素の分解低下

大腸・・・便の形成、排出力低下

小腸・・・栄養の吸収力低下

など

またfasciaはリンパ間質とも呼ばれ老廃物を排出するリンパ管の入口でもあります。fascia異常により老廃物がうまく排出できなくなると老廃物が脂肪化を起こしたり、老廃物が止まることにより浸透圧が上昇し水分をためてしまう浮腫(むくみ)が引き起こります。

このようにfasciaが異常になると身体に様々な異変が起こります。

・冷え

・むくみ

・倦怠感

・筋肉や姿勢などで説明のつきづらい痛み

・便秘

・消化不良

・身体の柔軟性低下

・筋力低下

・しびれ

・高血圧

・頻尿

・うつ傾向

・不眠

など

またスポーツパフォーマンスにおいてもfasciaが注目されています。

・中々変わらない柔軟性

・重心感覚

・バランス感覚

・どうしても力の入れ方がわからない動き

などはfasciaの異常が潜んでいることが多々あります。

特に怪我を機転にうまく競技ができなくなった選手は

fasciaを整えると不調から脱出できる可能性があります。

また競技力が伸びなくなった選手のほとんどがオーバートレーニング症候群と呼ばれる練習のしすぎやプレッシャーにより身体の疲労が抜けない状態に陥るのですが、これもfasciaを整えることにより身体の自律神経が整い、再び身体が復活して行きます。

このように今まで蚊帳の外にされていたfasciaは、現在の医学では非常に重要なものと再認識されています。きっとこれからも様々な発見がされていくことでしょう。

Physiofitでは、このように身体の痛みやスポーツパフォーマンスとは切っても切れない重要な組織だと捉えて、fasciaの異常を治療していきます。

fasciaに少しでも興味を持ち、ご自身の身体の悩みの解決に何かしら役立つことがあったならば非常に嬉しいです。

お読みいただきありがとうございました。

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