ランニング時の腰痛に対するケア

ランニングの腰痛は、様々原因で起こります。まずは原因を整理していきましょう。

なぜランニング時に腰痛が起こるのか?

ランニング時の腰痛は走り始めすぐに起きる場合と、後半になるごとに痛みが増してくる場合と、走った次の日になる場合とあります。痛みの頻度が多くなると日常生活にまで影響を及ぼします。

a. ランニング姿勢による腰の負荷量の増加

まずはこちらのグラフをご覧ください。

これは、立っている時が100だとして、様々な姿勢が腰にどれだけ負担がかかるのかを表しています。ランニング時には前傾姿勢になりやすいので、腰への負担は1.5倍の負荷がかかっていることになります。

b. 筋力によってもランニング姿勢が前傾になりやすい

特に背筋や腹筋や臀筋が弱いとこのような姿勢になりやすく、体幹周囲の筋力が弱い状態での前傾姿勢では腰への負担はさらに増加傾向にあります。

c. 上り坂が多いとランニング姿勢が前傾になりやすい

上り坂が多い場所を走ると随時前傾姿勢になるので腰への負担が増大傾向になります。

d. 股関節が硬いとランニング姿勢が前傾になりやすい

股関節が硬いとストライドを大きくしたときに腰が反り、前傾姿勢になりやすく腰への負担が増大傾向になります。

股関節が硬い人は、スピードをあげたときや下り坂では腰に負担が増えていく傾向になります。

e. 靴による腰の負荷の増加

また靴による腰の負担への増加も大きく影響しています。最近のランニングシューズ多い、衝撃吸収の良いクッション、踵や足裏のしっかりしたサポート、つま先と踵のソール高さの明らかな差、柔軟性が低い靴の特徴を搭載された靴によって、足裏やふくらはぎの負担は一時的に減りますが、ストライドが大きくなりやすく膝や股関節や腰への負担が増加します。最近のサポートの強すぎるこの弊害は、日本ではまだまだ浸透していないですが、今後どんどん明るみに出てくると思います。

a. ランニング姿勢による腰の負荷量の増加
b. 筋力によってもランニング姿勢が前傾になりやすい
c. 上り坂が多いとランニング姿勢が前傾になりやすい
d. 股関節が硬いとランニング姿勢が前傾になりやすい
e. 靴による腰の負荷の増加

代表的な例を挙げましたが、腰の痛みは最初は張りを感じて次の日には痛みがなくなったり、走っている時は大丈夫だけど朝起きると痛いといった「痛いけど、痛くない時も多いので病院に行くほどではないな」と自己判断をする方が多く、慢性化しやすい傾向になります。フォームや身体の柔軟性、筋力、靴、ランニングの量の急激な増加なども痛みの原因になるので痛みの原因の特定をファーストステップとして捉えて改善していきましょう。

怪我直後の治療(その日~損傷後3日程度)

”P・E・A・C・E”の措置で膝の炎症を抑える

PEACEによる炎症処置の考え方

PPROTECTION
保護 
外傷後の数日間は痛みを伴う活動や運動を避けてください。 医療機関でテーピングなどでの損傷部位の固定も行ってください。
EELEVATION
挙上 
怪我をした部位をできるだけ頻繁に心臓よりも高く挙上します。
AAVOID ANTI-INFLAMMATORIES
抗炎症薬を避ける
怪我をした組織の回復を低下させる可能性があるため抗炎症薬の服用は避けてください。
CCOMPRESSION
圧迫 
弾性包帯を使用して腫れを抑えます。 
EEDUCATION 
教育 
患者の状態に最も適した対処法を教え、過剰な医学的診察と薬の服用、そして不必要な受動的療法を避けるようにします。
引用:www.TheRunningClinic.com
  • 痛みは最大の防衛サインです。痛みがあるうちは積極的なランニングは避けましょう。
  • 炎症が起こることは全て悪いわけではなく、組織の修復に必要な物質・細胞の分泌も行うために必要なものです。抗炎症薬の服用は、回復に向かわせるための正常な炎症をも抑制してしまうので抗炎症薬の服用は避けましょう。

抗炎症薬の代表例

アスピリンロキソプロフェンジクロフェナクアセトアミノフェン
バファリン®などロキソニン®などボルタレン®などカロナールなど
  • 腰痛といっても、原因は様々であり、そしてそもそもの身体の能力も個々に違います。自分に合った治療方法を教えてもらってください。治療よりも身体作りの方が大切になるケースも多々あります。

炎症とは

炎症とは、腫れたり、熱が出たり、何もしなくてもジンジンと痛みが出たりすることです。
それらを放置しておくとどんどん炎症が増してしまい、治りが遅くなります。
炎症はサインですから、治すのには必要なのですが、炎症が過剰になってしまうと過度に組織を固めたり、循環が悪くなったりしてしまいます。
炎症の直後は治す力を止めない程度に、この炎症を最小限に抑えることが必要です。
病院では超音波治療や、レーザーによる治癒の促進ができます。

まとめ

  • 痛み原因や程度を医療機関で見てもらい、休養な必要な期間を明確、復帰までの目安をつけてください。
  • 正しい保護してもらいましょう。
  • 正しい運動制限を行いましょう。
  • 腰痛になった原因を特定して、原因に対して対処をしていきましょう。

怪我直後の治療(損傷後3日~7日)

炎症症状をしっかりとケアすると、腰痛が緩和していきます。回復がはやいとランニングまでできるかもしれません。そのため重要なのはいかに怪我直後に適切な処置をするかと再発させないための原因の特定と対処です。腰痛の原因が特定できていないとまた再発する可能性があります。

腰の炎症が引いていくのと当時に徐々に負荷をかけていきます。”P・E・A・C・E”から ”L・O・V・E”の頭文字に合わせて治療へと進めていきます。

L:LOAD(負荷)

炎症が落ち着いていれば回復具合によってPROTECTION(保護) の状態からLOAD(負荷) へ変化させていきたいです。
痛みと相談しながら徐々に日常生活に戻るようにしましょう。
いつ負荷を上げていけば良いのかは体が教えてくれます。
痛くない動きはやってOKです(痛み止めを飲んでいる場合は痛み止めを服用していない時の痛みを確認してください)。
また筋力や可動域やフォームや靴などの要因が解決されていないと股関節へ負担がかかりますので、身体の動きと相談しながら負荷量を決めていく必要性があります。

O:OPTIMISM(楽観思考)

自信を持ち、前向きな考えを持つことで最適な回復が可能になります。
そのためにもポジティブ(OPTIMISM)思考に切り替えることが重要です。
前向きな思考へ切り替えるためにもやるべきことと、やってはいけないこと、見通しをつけることを整理してください。

V:VASCULARISATION(血流を増やす)

痛みが伴わない有酸素運動を行うことで、負傷組織への血流を増やし回復を促進させます。
具体的にはウォーキング、エアロバイク、プールでの水泳や水中歩行などを痛くない範囲で行ってください。
また炎症が引いていれば痛くない範囲で筋肉の緊張を緩和させて血流を増加させていきます。
痛くない範囲で上半身のストレッチ、体幹のストレッチ、股関節のストレッチ、足首のストレッチなど全身的なストレッチを行ったり、お腹やお尻や背中のトレーニングを取り入れることで血流が上昇しますので走れないこの期間にしっかり自分の身体と向き合うことをお勧めします。

また、Physiofitでは気軽に血流が増せるコンプレフロスという商品を推奨しています。
簡易的に加圧がかけられて、血流負荷がかけられるツールです。
これにより有酸素運動をしなくても、定期的に血流を増加させることができます。

腰のコンプレフロス

股関節のコンプレフロス

E:EXERCISE(運動)

回復へ向けた積極的なアプローチを取ることで、体の動き、筋力、自己受容性感覚を回復させます。
特に、股関節痛の原因の解決にはエクササイズの実施が大きく貢献しますので、フォームや筋力や可動域の改善のためにも習慣的に実施していくことをおススメします。

まとめ

  • 炎症が治っていなければ炎症の処置を引き続き行う
  • 炎症が治っていれば徐々に負荷をかけてやれることを増やしていく
  • 自分のフォームや筋力や可動域をしっかり見直して対処していく
Physio fitも活用できます
  • Physio fitでは高周波(WIN BACK)による組織の治癒の促進ができます。
  • コンプレフロスを使った血流の上昇や可動域の改善の方法をお伝えします。
  • フォームを分析して、解決策を伝えます。
  • 何をしてダメでしたら何をしたら良いかをお伝えします。

怪我の治療(損傷後1週間~)

徐々に痛みが軽減していればOK

ぎっくり腰のようなランニング時の腰痛であれば、処置をちゃんと行っていれば問題なく1週間後あたりからだいぶ動けてくると思います。ただ、医学的な知識なく自己判断で治療を行うと後々影響が出る可能性が高いので、しっかりと医療機関や専門的なトレーナー・セラピストの元治療をしていきましょう。

日常生活でもまだ痛い場合は、

  • 損傷した場所の組織が硬く伸びない状態である
  • 循環が低下して痛みを引き起こす物質が残存している
  • 損傷した場所以外のところが影響していて損傷した組織に負荷を与えている可能性があります。
  • 回復に必要なだけの代謝能力、筋肉量が備わっていない可能性があります。

代謝が高い人は回復が早いですが、代謝が低い人は回復が遅いです。
代謝が低いと①、②の影響が出ます。
代謝を高めて、そして損傷部分を強くしていくために ”L・O・V・E”の頭文字に合わせて治療を進めていきます。

怪我直後の治療(損傷後3日~7日)”L・O・V・E”を参考に回復力を高めて行ってください。

徐々に負荷をかけていく

炎症が治まっていれば、日常生活でできることを増やしながら徐々にランニング復帰に向けてストレッチやトレーニングを開始していきます。
※ランニング復帰が得意ではない病院や接骨院もありますので、得意なところで見てもらうことをオススメします。

Physio fitでは適応理論を用いて徐々に負荷をかけていくことを推奨・アドバイスしていきます。

適応理論

引用:www.TheRunningClinic.com

日常生活よりも負荷の高いランニングへと再び適応(復帰)をしていくために徐々に負荷を身体にかけていきます。
股関節の回復度合い、元々の運動力によって運動負荷の掛け方はさまざまになります。
焦りすぎず、無理しすぎず、適切な負荷をかけていくことが大切です。
怪我後の急な連続したジョグは、怪我をした場所に疲労が蓄積しやすく再び怪我を引き起こす恐れがあるので慎重に体を慣れさせていきます。
間違ってもいきなり、怪我する前と同じ負荷で走り始めようとすることはやめてください。

  1. 日常の痛みがなくなってきたらストレッチやトレーニングなどを痛みがない範囲で取り入れてください。
  2. 軽くジョグをしてみて痛みがなくなればジョグを開始してしてみましょう。
    1分走って、1分歩く、1分走って、1分歩くといったインターバル形式でジョグを入れることをおすすめします。

まとめ

  • 炎症が治っていなければ炎症の処置を引き続き行う
  • 徐々に痛みが減ってきていればOK
  • 回復が遅ければ早くなるように処置が必要、”L・O・V・E”を見直す
  • ランニング復帰は適応理論で負荷を徐々に高めていく、急にやらない
Physio fitの活用
  • 足りない処置を補います。
  • 走りやすいように全身のバランスを整えます。
  • 再発しないようにランニングフォームを修正していきます。
  • セルフでできるトレーニングメニューを組んで、再発しない体づくりをサポートします。
  • どのくらい走ったら良いのか、何をしたら再発の危険性があるのかを明確にします。

思うように治ってこない…。または走ると再発する。

フィジオフィットでは、思うように治ってこない、または走ると再発する”慢性化”した痛みを抱えている方が多く来院されています。
慢性化した場合には、専門的な施術とトレーニングと運動負荷管理が必要です。
Physio fitでは以下のような流れで

Physio fitの活用
  • 回復が遅れている原因の分析
  • 筋膜コンディショニングで回復をサポート
  • トレーニングを習得し、復帰に必要な筋力をサポート
  • ランニング復帰に向けたウォーキングやセルフエクササイズ、ジョギング量、靴の選択のアドバイス

軽度の損傷で半年未満の痛みであれば、年齢にもよりますが3~4回程度のケアで大丈夫なことが多いです。
中等度、重度の方でも早ければ早いほどケアの回数が少なくなります。
数年繰り返しているような痛みだと、ケアの回数が多くなることをご了承ください。
※治す場所が多くなる可能性が高いです。

お一人で悩まずに、一度Physio fitまでご相談ください。